My little brother
2007年 02月 25日
4つ下の私の弟は『ダウン症』で、障害者福祉施設で生活している。
月に一度は3日間の自宅帰省があり、その期間は私の家か
一番上の兄の所のどちらかで弟を受け入れている。
この週末は久しぶりに我が家に弟がやってきた。
「久しぶりだね、元気でやってた?」
「うん、元気だったよ。」
車の助手席に乗り込んだ弟としっかり握手を交わす。
ダウン症の特徴だから仕方が無いが、老化するのがとても早く
頭にはずい分白髪が増えて、肌にも深いシワがたくさん増えている。
自分よりも年下の弟が自分より早いスピードで衰えていくのを見るのは
正直言ってとても辛いものがある。
私がまじまじと顔を見つめていると、それに気付いた弟が
「ん?」と振り向いて、ニコッと歯を見せた。
36歳になるというのに子どもののように屈託の無い顔を見て
一瞬、私は言葉に詰まってしまう。
「久しぶりに可愛い弟に会えてとっても嬉しいよ。」
やさしいお姉さんみたいな口調で言いながら彼の頭を優しくなでる。
「そっかい?」そう言って弟は満足な笑みを浮かべた。
たった2泊3日しかない帰省なのに、3日とも私は仕事が入っていた。
せめて仕事の合間に弟を買い物に連れ出す事にした。
行き先は、最近宮の沢にオープンした巨大ジャスコ。
私もこのジャスコに行くのは初めてだ。
「つかまって歩いてもいいかい?」
それは弟と腕を組んで歩きたい私の口実。
いきなり「手をつなごう!」なんていうと嫌がられるから。
いい年して姉ちゃんなんかと手をつないで歩くのはNGらしい。
しかし女性を守りエスコートするという大人の男としての本能は
彼にもちゃんと備わっているのだ。
しっかりと腕につかまって歩いていたが、店に入るなり
私の腕を振り解いてさっさと一人で行ってしまう。
いつものことなのだが、物を選ぶ時は絶対に監視されたくないらしい。
春物のトレーナーを新調する予定だったのに全く探せない。
店が広過ぎてどこに好みのものが売っているのかわからないのだ。
結局私の方が歩き疲れてどうでも良くなってしまった。
本人が気に入ったという理由で、目的とは全然違うのだが
トレーニングパンツとジャンパーをユニクロで購入。
「ユニクロならわざわざこんな所まで足を伸ばすことも無かったな~」
などと思いつつ。
しかもお腹に合わせて選んだからズボン丈が15センチも長いし。
家に帰ってから夜なべして丈詰め。
ズボンの裾がファスナーだから膝下で詰めなきゃならんのだわ。
それもナイロンだから縫い辛くて大変だぁ。
こんなめんどくさい事、身内のじゃなきゃやってらんないよな~。
「私っていい姉だよなー」とか自分で思ったりして。
翌朝弟がズボンを見て喜んでいるのを見たら私まで嬉しくなった。
愛する人が喜ぶのが、自分にとっても何よりの喜びなんだな。
今日も私は朝から仕事に行かなきゃならない。
家に帰ったときには、もう弟を施設に送る時間だ。
弟は「さようなら」とか「じゃあまたね」とか、別れの挨拶をとても嫌うので
別れの時は、あえて何事もないみたいにそっけなく送り出す。
そして弟は寂しそうに肩を落とし、背中を丸めて帰って行った。
私が一番悲しいのは、この先の彼の人生を彼自身の決意と努力で
変えていくことができないってこと。
私には自分の人生をいくらでも自分の力で切り開いていくことができる。
それができない弟の未来を思うと、胸がぐっとなる。
弟の分まで私は頑張らないと。
いつまでも仲良しでいようね、私の大切な弟。
月に一度は3日間の自宅帰省があり、その期間は私の家か
一番上の兄の所のどちらかで弟を受け入れている。
この週末は久しぶりに我が家に弟がやってきた。
「久しぶりだね、元気でやってた?」
「うん、元気だったよ。」
車の助手席に乗り込んだ弟としっかり握手を交わす。
ダウン症の特徴だから仕方が無いが、老化するのがとても早く
頭にはずい分白髪が増えて、肌にも深いシワがたくさん増えている。
自分よりも年下の弟が自分より早いスピードで衰えていくのを見るのは
正直言ってとても辛いものがある。
私がまじまじと顔を見つめていると、それに気付いた弟が
「ん?」と振り向いて、ニコッと歯を見せた。
36歳になるというのに子どもののように屈託の無い顔を見て
一瞬、私は言葉に詰まってしまう。
「久しぶりに可愛い弟に会えてとっても嬉しいよ。」
やさしいお姉さんみたいな口調で言いながら彼の頭を優しくなでる。
「そっかい?」そう言って弟は満足な笑みを浮かべた。
たった2泊3日しかない帰省なのに、3日とも私は仕事が入っていた。
せめて仕事の合間に弟を買い物に連れ出す事にした。
行き先は、最近宮の沢にオープンした巨大ジャスコ。
私もこのジャスコに行くのは初めてだ。
「つかまって歩いてもいいかい?」
それは弟と腕を組んで歩きたい私の口実。
いきなり「手をつなごう!」なんていうと嫌がられるから。
いい年して姉ちゃんなんかと手をつないで歩くのはNGらしい。
しかし女性を守りエスコートするという大人の男としての本能は
彼にもちゃんと備わっているのだ。
しっかりと腕につかまって歩いていたが、店に入るなり
私の腕を振り解いてさっさと一人で行ってしまう。
いつものことなのだが、物を選ぶ時は絶対に監視されたくないらしい。
春物のトレーナーを新調する予定だったのに全く探せない。
店が広過ぎてどこに好みのものが売っているのかわからないのだ。
結局私の方が歩き疲れてどうでも良くなってしまった。
本人が気に入ったという理由で、目的とは全然違うのだが
トレーニングパンツとジャンパーをユニクロで購入。
「ユニクロならわざわざこんな所まで足を伸ばすことも無かったな~」
などと思いつつ。
しかもお腹に合わせて選んだからズボン丈が15センチも長いし。
家に帰ってから夜なべして丈詰め。
ズボンの裾がファスナーだから膝下で詰めなきゃならんのだわ。
それもナイロンだから縫い辛くて大変だぁ。
こんなめんどくさい事、身内のじゃなきゃやってらんないよな~。
「私っていい姉だよなー」とか自分で思ったりして。
翌朝弟がズボンを見て喜んでいるのを見たら私まで嬉しくなった。
愛する人が喜ぶのが、自分にとっても何よりの喜びなんだな。
今日も私は朝から仕事に行かなきゃならない。
家に帰ったときには、もう弟を施設に送る時間だ。
弟は「さようなら」とか「じゃあまたね」とか、別れの挨拶をとても嫌うので
別れの時は、あえて何事もないみたいにそっけなく送り出す。
そして弟は寂しそうに肩を落とし、背中を丸めて帰って行った。
私が一番悲しいのは、この先の彼の人生を彼自身の決意と努力で
変えていくことができないってこと。
私には自分の人生をいくらでも自分の力で切り開いていくことができる。
それができない弟の未来を思うと、胸がぐっとなる。
弟の分まで私は頑張らないと。
いつまでも仲良しでいようね、私の大切な弟。
by korizo | 2007-02-25 18:17 | ココロの叫び